アオリイカの生態5(雌雄)



沖の藻場や瀬の周辺で冬を過ごしたアオリイカは、水温が上がってくると岸近くのアマモ

((甘藻 Zostera marina)は、北半球の温帯から亜寒帯にかけての水深1-数mの沿岸砂泥地に自生する海草の一種。日本でも各地に分布する。雌雄同株で多年生の顕花植物である。)

の生えた場所に入ってきます。

春の乗っ込みです。

産卵のシーズンは、温暖な地域では4月から始まって9月まで続くといわれますが、ピークは5~8月です。

この時期は梅雨にあたりますので、雨量が多いとアオリイカは淡水に弱いため、数が少なく、型も小さくなる傾向があります。

梅雨の雨量で、その年のアオリイカの釣果が予想できるというわけです。

メスは胴長20cmになると複数回の産卵を行うといわれ、一回の産卵数はおよそ5000粒くらいといわれます。

アオリイカの卵は15cmほどの房に入っており、海底の石やアマモ、沈み木などに付着して成長します。これは、他の外洋性のイカの卵が浮遊性であることと大きく異なっています。

卵嚢は厚くて丈夫なため、海亀とヒラメ以外の魚の食害を受けることはないといわれており、外敵に強いものとなります。

産卵後約30日で生まれる子供は胴長5mm~10mmで、イサザアミ(

甲殻上綱軟綱綱フクロエビ上目アミ目:タツノオトシゴ や ヨウジウオ類をはじめハナダイ、ヤッコ、チョウチョウ類、その他海水魚、淡水魚全般の生エサとして熱帯魚屋等でも売っています)

やワレカラ

(節足動物門・甲殻綱・軟甲亜綱・端脚目・ワレカラ科 ワレカラは1-3cmほどの甲殼類で、海藻の上などを生活の場としている。 小さいけれどごく普通に見られる動物で、海藻を食べればワレカラも知らないうちに食べている。)

、カニの幼生などを捕食しているといわれています。

卵の間は外敵から守られているもののふ化した幼体は多くが小魚の絶好のエサとなるため、この時期を越すことが大変な試練なのです。

孵化後半日から摂食を始め、生後100日で胴長8~10cm、約50gにまで成長します。

このころになると密集した群れではなく、単体で捕食するようになります。

釣公園などで鉄柱周りに付く小魚を狙うアオリイカの子どもをみることがありますが、ちょうどこの時期のアオリイカだと推測できます。

同じ時期に大小さまざまなサイズが釣れることがありますが、産卵期間が非常に長いため成長過程で様々な大きさのアオリイカが入り混じっているものです。

胴長20cm以下だとメスが多いのですが、オスの方が成長速度が速いため、胴長30cmではオスが8~9割を占めるようになります。

オスの胴体には長さ1~3cmの白い横スジが入っています。

メスには直径数ミリのエメラルド色の水玉模様が散らばっています。

これが一番簡単な見分け方といわれています。

もう一つの見分け方は、腹側の一番漏斗に近い一対の腕で見分けることができます。

200~300gのころは見分けにくいですが、500gくらいまで成長したアオリイカなら見分けが付きやすくなり、左右ともほかの腕と同じ場合はメスで、どちらか(左第4腕)の先端の細い部分の吸盤がなく、肉状の突起になっていればオスです。

オスは自分の精子カプセルをメスに渡すため、特別に設計された専用の腕(交接腕)を持っています。

資源保護のためにも、メスが釣れた場合は出来ればリリースしていきたいですね。

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